お隣さん、「お騒がせしてスミマセン」
私にお隣さんが声を掛けて来たのは、外壁塗装が行われているから。
私、「業者さん念入りにやってますね」
お隣さん、「鉄の部分が、ずいぶん錆びちゃったのよ。もっと早く塗装をしておけば良かったわ」
私、「築何年ですか?」
お隣さん、「築27年。7年前に外壁塗装をするつもりでお金を貯めていたのだけど、娘が結婚して予定が狂ったの」
私、「娘さん、たまには帰って来るのですか?」
お隣さん、「一緒に住んでるわよ。大きな声では言えないけど、娘、離婚をして戻って来てるの」
私、「そうなんですか」
家に帰ると
妻、「お隣の娘さん、離婚をしたの?」
私、「聞いてたの?」
妻、「人聞きの悪いこといわないでよ、聞こえたの」
私、「うちってさー」
妻、「無いわよ」
私、「まだ、何も聞いてないじゃない」
妻、「うちに外壁塗装をする余裕はないわよ」
私、「外壁塗装の話しも聞いてたの?」
妻、「人聞きの悪いこといわないでよ、聞こえたの」
私達夫婦には中学生の子供がおり、結婚資金を貯める必要はまだないのだが、進学にお金が必要。
数ヶ月後、我が家も外壁塗装を行った。
妻、「うちには、もうお金がないから、お金が掛かる高校には行かせてあげられないから」
子供、「えー!?」
うちにはお金がないことを自覚した子供は勉強を頑張り、お金の掛からない高校に合格。
その高校の入学式の朝、外壁塗装でキレイになった家の前で、家族揃って記念写真を撮りました。